今回は、亡くなった人の衣食住の『食』のおはなし。
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日本では亡くなられた方の供養のために、通夜葬儀から『お供え物』をしはじめるのが通常の習わしです。
線香や花のいい香りは亡くなった人の食べ物とされています。
臨終の前後に行う末期の水
臨終の際の亡くなられる間際、また今では納棺時などに樒(しきみ)の葉に水を付けて亡くなりゆく人の口にふくませる「末期の水」が亡くなったあと一番初めに口にするものかもしれません。
※樒(しきみ)の葉は仏事ごとでのお供えとして欠かせない葉っぱであるが毒性が強く、本来その性質を利用しお墓を野生動物などから守るために植えられたと言われており、その毒性にあやかり喉の渇きを癒すための末期の水はそれを取る際、故人の魔除けのために樒の葉を用いるようになった。
末期の水は、他にも箸に脱脂綿を巻いて糸でしばったものを、お参りに来られた都度口にふくませるという方法もあります。
この水はお茶碗などに入れて、脱脂綿を巻いた箸は自宅での安置中故人の枕元に置いておきます。
※ちなみに、出棺の際に故人の使用していたお茶碗を割る制度が宗派によってはありますが、割る為のお茶碗はあくまでお供えしていた一膳飯をよそったお茶碗です。
花もお水代わり
供花には亡くなられた人の魂を慰めるという意味がありますが、お水代わりになるともいわれています。
亡くなられるととても喉が乾くと考えられており、お花やお供え水を絶やさないようにするのは大切な供養のひとつです。
※(宗派によっては水をお供えしない場合もありますので、わからなければ菩提寺に聞いてみましょう)
また、墓前に手向ける花は故人が宿る依代とも言われています。お墓まいりの際はそういったことを想いながらお花を手向けてみてはいかがだろうか。
供花・もうひとつの意味
●尊い生命の儚さを教える
美しく咲きほこる花が日々枯れてゆく姿は、生きている人間に「花がいつか枯れるように、人の命もいつかは尽きること」を教えてくれます。お供え花(生花)には、この命のサイクルを再確認させるという役割があります。
このように、供花は亡くなられた方に向けてだけではなく今生きている者に向けての意味も持っているのです。
その為、仏花などもお墓に向けずお参りの人に向けて供えますね。
儚く短い花の命をもって、今生きている我々が命の尊さを想い感謝すること。それは、世の無情や生きている人の学びのためにお花を供えることでもあります。
線香も有名な食べ物のひとつ
厳密に言うと『香食』といいまして、
亡くなった人にとって線香の『香り』が食べ物だとされているのです。
仏式の考えでは、悟りを開けなかった者は中陰の旅を行うと言われているのですが、その49日間の冥土の旅の食料となる。そういう考えなのですね。
また、良い魂は「妙香」を食し、悪い魂は「毒香」を食べるなどの仏式的な記述もあります。
線香が流通する前、昔は煙と香りを出すための「香木」を用いていたというのは有名な話。現在では香木は非常に高価であるため一般的ではありません。
そもそも、なぜ香食をするのかというと、旅をする亡くなった人は人の目には見えないほどとても小さいからなどともいい伝えられています。
そのため49日間は線香を絶やさないようにという風習が根付きました。
不祝儀に『御香典』を持参するのは「香りの代わりにお金を包んできました」という意味でもあるんです。
また、線香を焚く物理的な効果として防虫、臭い消しなどの役割も兼ねています。
せっかくなら故人の好きだった香りを選び線香に火を灯してあげるのも良いでしょう。
そして、何より線香を焚くことで、線香を焚く者自身と、またその場の空間が清められるという意味もあります。
線香をあげるとその香りが線香を焚く者をも包み込み、俗世で汚れてしまった心や身体を一掃してくれるのが線香の香りなのです。
注意点※線香に火を灯した際は息を吹きかけず、手で煽って消す、または線香を振って消しましょう。
灯燭(とうしょく)は食べ物ではない?
灯燭とはともしび、またはロウソクを用いて灯す火のこと。
同じように仏前のお供え物と共に置かれているこの灯燭には『道を照らして慈悲を表す』役割があって、あくまで故人にとっての食べ物という考えではありません。
本当の食べ物をお供えする時に避けたいものは?
中には、「本当に水・花・線香だけでいいかしら……故人の好きだった食べ物も供えてあげたい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし一点だけお気をつけいただきたい。
お好きだった食べ物をお供えする際に、お家が仏教であればニンニクなどのひどく臭うもの、魚や肉などのなまぐさ物は避けられた方が良いでしょう。
しかしながら神道では魚や卵を供えたりもするので、そんなに神経質にはならなくとも良いですが、法事やお坊さんが来られる際のお供えものとしては不適切であり、避けた方が良いでしょう。
※お供え物についてもっと知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
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