葬儀の最中にある遺族の方は本当に立派です。葬の助はいつもご家族の強さに学び、弱さに励まされています。
このサイトは、そんな遺族の方に日頃のお返しの気持ちを込めて、一記事一記事書かせていただいております。
今回は少しココロの話も含めて、『納棺』に向き合う時のはなしをしていきます。
お棺内の空間を考える
前回も記事の一部で触れましたが、我々の身体が最期に眠る宿はお棺(棺桶/かんおけ)の中です。
このお棺の中に一晩、二晩泊まるのかはわかりませんが、お身体がなくなってしまうまでの間、このお棺の中で過ごしますよね。
お顔窓を閉めたお棺の中は暗く、寒いものです。
葬の助は、日頃からこのお棺の中の空間が故人さまにとって少しでも居心地のよい空間であってほしいと願いながらお仕事をさせていただいておりますが、まずは遺族側、ご家族の方がいかに「故人にとって居心地の良い空間」に意識を向けてあげられるか?ということに気付けていればもっといいお別れができたのでは……と、胸が痛むことがあるのです。
何よりも故人さまのことを第一に考えるのは、家族にとってのお別れのセレモニーにおいてとても大切なこと。
遺族のココロの変化
もちろん上記のことは、哀しみの最中にいる遺族に余裕などあるはずもないのだから、考えが及ばなくて当然、仕方ないことだ。
と、葬の助はずっと思ってきました。
しかし、最近少しばかり感じ方が変わってまいりました。
お別れの時間が差し迫ってくるとき、家族は実に冷静になる。
亡くなった瞬間から哀しみはやってきて、一度その波は落ち着き、また幾度かに別れて繰り返し哀しみが返ってくる。
このサイクルを繰り返しながら私たちは人とのお別れを受け止めていきます。
納棺の前の時間とは、そんなサイクルの非常に穏やかな時間帯であることが多い。
ということがわかってきました。
とはいえ実際、納棺の儀が終わる頃、このサイクルの波は高く押し寄せるのですが……
哀しみの波が穏やかなころに
例えば、家族の誰かが亡くなったあと、親族に連絡などを済ませたり、葬儀社とのやり取りを済ませたりしたころか。
それとも自分自身のお腹が空いてくることに気がつくころでしょうか。
もしくはテレビの音がちゃんとリアルに耳に入るようになるころだろうか、家族の誰からか、冷静にこう切り出します。
「◯◯◯って……、何が好きだったっけ」
するとどんなに哀しみの深い方でも「ハッ……!」としたお顔をされます。
そして、思い出したかのように次から次へと故人の所縁のある物事などを話し始めたりするのです。
そしてようやく家族はご自分の役目に気付くのです。
『この人の為に出来る最期のことってなんだろう』と。
どんなに哀しみの中にいてもどんなに打ちひしがれていても、なぜか人は自分に役目があるとわかれば、勝手に体や思考が動くのだと思います。
そして動いているうちに少しずつ哀しみはごまかされ、また少しずつ癒えてゆくのです。
二つのお役目
納棺の儀を前に故人の為に、あなたに出来る最期のお役目はふたつ。
◯お棺の中に故人も遺族もお心残りや忘れ物を残さないようにすること。
◯故人が安心して眠れるためのお手伝い。
です。
▼よろしければ以下の記事も参考にどうぞ。
■納棺時よく柩(棺桶)にお入れされるもの《副葬品紹介・定番品とオススメ品》
■納棺時、棺桶に納める副葬品の選定方法[入れられるものと入れられないもの]
そこで、上記の記事内容などに気を付けながらいざ副葬品を考え始めたり、探したりしてみると、入れてあげたいものは色々と出てくるでしょう。
中には入れられないものもあるでしょう。
しかし、入れてあげるものは必ずしも『物』でなければいけないとは限りません。
例えば……
・頭を撫でてあげたい
・手や頬に触れたい
・大切なことを耳元で伝えたい
・痛がっていたところをさすってあげたい
などの心のお忘れ物はないだろうか?
また……
物ではない副葬品として、葬の助がかなりオススメしたいものがあります。
それは香水です。
香水などの香りもの
香水、コロン、アロマオイルなどの好きだった香りものは火葬場でも規制はかからないですし、また暗く寂しいお棺のなかを少しでも安らげる空間にするとの想いです。
以下の記事にも記述しましたが…
■人生で最後のお宿[棺桶(かんおけ)お棺(おかん)・柩(ひつぎ)]選びの重要なポイントとは?最期の安らかな眠りのためにできること
お茶の葉を敷き詰めたり、コーヒー豆を入れたり。その香りの効果は絶大ですよ。
どうしても異臭がするなど場合によってはこういう事態が避けられないこともあります。
高価で強力な消臭剤を葬儀社に入れていただいても、実際はほんの気休め程度であることが多く、故人さまもきっとお辛いはず。。
この『香り』ですが、形式は問いません。
・車が好きな方であったなら、好きだった芳香剤とか…(中身の液体をコットンなどに染み込ませて入れるのが良いでしょう)
・故人が身に付けていた香りでなくとも、愛する方、恋人などの愛用されている香水や香りものがあればその香りを故人のそばにしのばせてあげるというのもありでしょう。
いかがでしたか?
副葬品を用意されるとき、香りものは意外と思いつかないご家族が多いことが以前から気になっていた葬の助でしたので、今回は『香り』の副葬品について取り上げてみました。
色々な副葬品がありますが、この記事を読んでみて、あなたの『香り』も大切な人の『香り』も、大切なその人の一部であることを再認識いただければと思います。
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