副葬品を考えよう。
大切な人のたった一度きりの納棺のために。
さて、人が亡くなると必ず棺桶の中に亡くなられた方をお納めする納棺式という儀式が行われます。
納棺の際、事前にお柩(ひつぎ)に入れるものをご用意するように、必ず葬儀屋さんから葬家の方にお話があると思いますが、いざ「柩(ひつぎ)の中に入れるものを用意して」などと言われても何を入れてよいのやら、さっぱりわからないのが現実ではないでしょうか。
お柩に納める副葬品については、このページと以下の記事を参考にしていただければと思います。
■納棺時、棺桶に納める副葬品の選定方法[入れられるものと入れられないもの]
納棺のとき、みんなは何を入れてるの?まずは……
定番の副葬品をご紹介
●衣類
あの世でのお着替え代わりにと、好きだった洋服などを入れる。
・作業服や一張羅の洋服
・祭りの衣装
・スーツ
・着物
・カバンやポーチ
・肌着や靴下
・帽子
・ウィッグ
・マフラー
・スカーフ …etc
●履き物
・靴
・草履
素材により入れられないものもあり。
●亡くなられた本人が生前に用意しておられたもの
亡くなってから自分に着せてもらう服や、納棺してほしいものをご本人が用意している場合があります。また、エンディングノートなどを作っておられませんでしたか?
●おいづる、朱印帳などはないか?
以前に霊場巡礼西国三十三ヶ所巡りや、四国八十八ケ所巡りなどに行っておられたことはありませんか?
《おいづるとは》
巡礼の際に着る白衣(びゃくえ)。袖ありのものとベスト型のものがある。背中に回った神社や寺院の御朱印が記載されている。
《朱印帳とは》
お遍路などのお参りの際、神社や寺院の御朱印がたくさん記載された冊子です。朱印を押印収集するための専用の帳面。
納経帳(のうきょうちょう)集印帳(しゅういんちょう)とも呼ぶ。表裏両面のみ硬い表紙がついており、屏風折りの形式、もしくは和綴じのものがあります。
巡礼の際に使用していた木製の杖やわらじ、数珠などが出てくるかもしれません。それらも一緒に納棺することがあります。
●巡礼の旅の際に身につけるもの、持ち歩くもの一式
・白装束
・おいづる
・朱印帳
・輪袈裟(わげさ)
・首から下げる輪っか状のもの。家紋や寺院名などが記載されていることも。
・散華(さんげ)
・杖
・菅笹
・わらじ
※必ずしも上記の全てをお入れになるというわけではありません。
●ご飯、お箸、お供え団子
亡くなってすぐお供えしていた一膳飯をお箸を使ってお茶碗から出したものと、その際使用したままのお箸を半紙などの白い紙に包んで納棺する。団子などを作りお供えする地域ではお供え団子も半紙で包んで納棺する場合もある。
お茶碗は自宅から葬儀会場へ出棺するとき自宅の玄関を通る際に地面に落としてお割りします。(もう帰る家はないということを亡くなられた方に知らせるため)
●好物の食べ物
季節の食べ物や好物の食べ物は特に定番です。お菓子などの乾き物も良いですし、生ものがお好きでしたなら紙のお皿に盛りつけてお供えし(お好みでラップなどをしても良い)、最後のお別れの際に紙のお皿ごと入れることも。
飲み物も紙パックのものでしたら入れれますし、炭酸モノなどのペットボトルや缶の飲み物は、紙コップなどに入れてラップをかけて輪ゴムで止めれば柩にお入れすることが可能です。
●嗜好品
各自が習慣として口にしていたもの。
●管理や処分に困るもの
・故人の手作りの品
・見ると故人を思い出して悲しくなるような品。
・着物、衣装等の手入れが大変な品
・後に処分となると供養などが必要と思われるような品(例えば……ぬいぐるみ、写経本、経本など)
・飲んでいた薬、目薬
・免許証
・財布
・家族や自分のへその緒
●亡くなったとき身に付けていた衣服や物。(遺留品)
処分に困るので入れられる方は多い。しかし汚れている場合などもありますので、葬儀社のほうで処分、またはお焚き上げ供養等をしてもらえるか相談してみるのもありでしょう。
納棺師である葬の助が特にオススメしたい!副葬品2選
●お手紙
ご家族が想いを込めて書いたお手紙はきっと故人さまに伝わるはず……
きっと残された家族の気持ちの整理にもなることでしょう。
大切に書いたお手紙は燃え残ることはありませんのでご自身の手でお柩の好きなところへしのばせてあげましょう。
洋服のポケット、手元の近く、着物のたもとや袖の中、お顔の周り等。
●香水、コロン、アロマオイル
故人さまがお好きだった香りのあるもの。お柩の中はただでさえ一人ぼっちで臭いもこもりがちな寂しい空間です。安らかな眠りのお供として、どうぞお好きな香りで包んであげてください。
ただし……!
失敗例→「好きだった香水をかけてあげよう!」と一致団結した家族が香水1瓶をどばどばと棺桶の中に振りかけてしまったことがありました。
家族全員の意見が一致した上での行動でしたが……
出棺時式場全体が大変な香りになってしまったことがあります。苦笑
※香水、ふりかける量はほどほどに。
おもしろ副葬品のあれこれ集
お入れされるものの中にはびっくりたまげるような品物、奇想天外なものなどもあり本当に多種多様です。
・100歳程のお年寄りが亡くなった時にはかなりのアンティーク化した外国製の色あせたお人形など、古すぎて不気味であるが故の怖さと、骨董品のような魅力あふれるものに出会うこともあります。家族としては共に供養したい一品なのかな……
・昔に生き別れた若き頃の伴侶の写真。中には70年くらい前の戦時中の頃に特攻隊として亡くなったご主人の写真や手紙などもありました。(この故人さまはその後ずっとお一人でお腹の子を育て未亡人として生きたのだそう)
・子供はいつまで経っても子供の証拠。大事な子供のへその緒を柩に入れてねと遺言を残したおばあちゃん。
・人生の中で様々なシーンでご活躍されたことを証明する「表彰状」を入れる人もいます。
・これまた哀愁漂う100歳くらいのおばあちゃんの副葬品から古く色褪せた小学生のころの通知表が出てきました。昔の先生が子供へ送ったアドバイスや指摘の内容が残っていましたが「静かな子供」などというあまりにも単刀直入でシュールな一筆に可笑しくなり、ご親族で大盛り上がりでした。
・お菓子が好きだったということで、お顔の周りをお菓子で埋め尽くしたこともありました。
・田舎だと、自分ところの畑で育てた果物や野菜など採れたてのものなど。小さなお孫さんやひ孫さんが収穫にいってくれたりして。
・昔からとにかく女の人が好きなおじいちゃんだったそうで、いつも老人ホームで堂々と読んでいた「大人の漫画」を暖かく笑いながら入れてあげた優しい家族。
・「私(孫)の写真持って行って」と言って手のひらの中に入れた
30代孫娘の仮装している写真。
・特撮ヒーロー好きなおばあちゃんの手元に戦隊モノのヒーロー本が一冊。本を置いた孫息子は現役の戦隊モノのカメラマンだった。
などなど、このように日々様々な納棺式が行われていますが、
それらの全部は一つ一つが違っていて、
一人一人が違う分だけ個性に溢れています。
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