納棺

納棺時に遺髪(いはつ)、遺爪(いそう)を遺品として残すか否か

 

 

今回のテーマ
『遺髪』『遺爪』

 

日々、湯灌(ゆかん)に携わっていると、時々遺品として故人さまのものを何か遺せないかと考えるご遺族に出会うことがあります。

 

その際、湯灌納棺の儀式のさなか、葬の助の立場としてご案内出来るのは『遺髪』『遺爪』のお二つではないかと考えています。また、最終的には収骨や納骨の際、『遺骨』を遺すことも選択肢としては出てくるでしょう

 

しかし、『遺骨』とちがって、『遺髪』『遺爪』は生身の身体状態の一部であり、生前の故人を残しておける唯一のもの。

 

中にはそれらを桐の小箱に入れるなどし、積極的に体の一部を遺品として遺すか否かを聞いてくれる葬儀社もあります。

 

では、実際にこれらを遺すことってどうなのだろうか?

 

今一度、その後の心情的な部分と物理的な問題について考えてみなければいけないと思いましたので

 

今回はこれをテーマに話を進めていきます。

 

 

故人の体の一部を遺すことについて

 

大切な人がこの世を去り亡くなってしまうことは、ご自身の身が引き裂かれるほど悲しいことだと思います。

 

とりわけ故人にごく近い近親者にとっては、髪や爪であれ火葬し故人の体が骨を残し跡形も無くなってしまうことを考えると、これらには格別な思い入れがある『遺品』となりうるのです。

 

しかし、この『遺品』を残されたはいいが……

 

「処分に困った」
「無くしてしまって故人に申し訳無い気持ちになった」

 

など、『遺品』として残されたあとに生まれる後悔の言葉もあります。

 

逆に、お身体の遺品を遺すかを聞かれた際、その場では「いりません」と答えたが、あとでやはり「遺しておけばよかった」という後悔の言葉もありました。
もしくは、遺せることを事前に知らず
「遺品として遺せるのならば置いておきたかった」と悔やむ方もいることでしょう。

 

もちろん、愛する人や大切な人をなんの後悔もなく見送ることなんて難しいと思います。
しかし、残すか残さないかの選択肢があるということを、知っているか知っていないかでは後悔も変わるはずです。

 

果たして、心の整理のつかないままの葬送の時間の中で、私たちは正しい判断が出来るのだろうか?

 

 

遺品を意識している家族

日々納棺に立ち会っていると、中には遺族であるご自身の方から『遺髪をいただきたいのですが……』と、尋ねてきてくださる場合があります。

 

こういった場合は、それ相応の覚悟の上でおっしゃっているのだろうと感じるので、快く引き受けさせていただき、髪の毛をのこされる場合には合わせて「遺爪ものこされますか?」と伺うこともあります。

 

 

遺品として遺したあとは

実際、遺品を遺してみると、その扱いは人によってそれぞれです。

 

・ペンダントなどに入れて肌身離さず持ちお守りにする。

 

・亡くなった子、又は亡くなった伴侶の遺品は自分が亡くなったあと柩に共に納めてほしいと願う。(それまでの間保管)

 

・親の遺品を兄妹で分配し、いつまでも親を忘れないと誓い合う。

 

たいせつな遺品は大事に保管しておきたいものです。葬の助個人的に良さそうな品をピックアップしてみます。

 

▼この和柄の本漆骨壺は木製なので特におすすめです。
残された伴侶や、親、子供の『遺爪』『遺髪』などは、ご自分の亡くなった際にお棺に入れてあの世に持っていくのがよいと葬の助は考えます。
なので納棺の際にこのまま一緒に入れられる木製の容器、また長年大事に保管できる入れ物がおすすめです。
また、この商品は名前も印字してもらうことができますし、木をくりぬいて作られており火葬しても燃え残りません。

 

▼飾ったりして日々の供養のために保管するなら、ホコリなどに強く見た目の美しいガラス製がおすすめです。

 

▼ペンダントなどもありますがこれは好みでお探しください。ほんとに色んな種類がありますので、選ぶ際はどうぞ心ゆくまで悩んでください。^^;汗

 

 

 

失敗例

・ 小箱に入れるか、綿で包んで保管したが、その後処分に困った。

 

・紛失してしまい、不安に駆られた。

 

・不気味な現象が起き、それらが遺品のせいではないかと不安になった。

 

 

遺髪はありでも遺爪は無し

 

現実問題、葬の助の観点から言うと
『遺髪』はありでも『遺爪』は無し。

 

というのが葬の助の正直な意見。

 

もちろんあくまで個人的な観点ですから、参考までに。

 

闘病が長く何ヶ月もお風呂に入れていなかった方など、病院で亡くなる方が増えている今では、それなりに不衛生な状態にさらされていることが多いので、こんなことあまり言いたくはないのですが、爪の中はかなりの汚れが溜まっている部分になります。

 

・長期入浴出来ず、爪を切らなかったことによって垢が付着している。

 

・最後に吐血し、手を口元に持っていったためにそれが爪に付着している。

 

・ご臨終の前に便が出てしまい、それを触ってしまった故人さま。

 

簡単にいうとあまり衛生的ではない場合があるのです。。
(もちろん、とっても綺麗な爪の場合も多々ありますし、湯灌で爪の中まで可能な限り洗わせてもらうのですが)
なので、葬の助ではあまりお勧めしていません。もちろん、亡くなられたのが未成年のお子様である場合などは、いかなる理由があっても、残して持っていたいと思う親御様が多いと思いますし、持っていてあげてほしいなと感じます。

 

ただ、なんとなく赤ちゃんの成長過程で、髪の毛を残したり、爪を残したり、乳歯を残したりするのとはわけが違うなと感じているのです。

 

 

地域によっては故人が着ていたものや布団、切った爪などをお寺などに引き上げてもらい(葬儀業者が委託して)【お焚き上げ】する風習などがある場合もあるほどですので、やはり残す場合は覚悟を持って残すべきです。

 

葬の助であれば、万が一誰かの遺品を残した場合、自分の葬式の際棺桶に入れてもらうようにすると思います。
このようなものを後世に残すのは賢人だけで十分ではないでしょうか。

 

ちなみに、韓国式の納棺では以下のものを必ず切り落とします。

 

・右手の爪
・左手の爪
・右足の爪
・左足の爪
・髪の毛

 

そして、これらは別々の小さな巾着袋に入れられ、納棺時に柩の各定位置に入れて納棺するのです。
このように結局、韓国式を見ても遺品として残すわけではないことがわかります。

 

 

体の遺品を遺す風習について

故人の体の一部をこの世に残すということは、故人にとっては完全に『全身があの世に行かない』ことを意味しています。

 

ですので、もし遺品を体から切り取ったのならば、代わりに(私)自分のものを切り取って入れましょう。と、遺品を受け取るのと交代に自分のものを故人にもたせるという考え方がそもそもあったようです。

 

取りに戻ってくる=成仏できない

 

といった恐れから自分たちのを持たせるという呪法(おまじない)ですね。

 

 

品物の中で手元に遺される物(遺品)の例

 

数珠
故人の数珠を、子や孫が『継いで使う』のも一つの考え方ですが、故人が信心深ければ深いほど、本人の念がこもったものであると考えるのが普通。この場合は故人本人に持たせる方が心持ちが良いのではないでしょうか。(その地域の火葬場が厳しい場合、素材によっては入れれないこともあります)

 

指輪、アクセサリー
葬炉で焼け残ってしまうため。どうせ焼け残るなら遺品として残された人が使用する方がいいのではないか。

 

腕時計
機械物ということと、だいたい電池が入っているので棺に入れること自体がアウト。ですのでほぼ95%遺品となります。

 

ベルト
ベルトはバックルの大きさによっては棺に入れること自体がアウト。バックルを切れば納棺出来るが、そこまでして棺に入れる必要性がないと感じる。ベルトは息子さんが継いで使うとおっしゃったケースが多い品でもある。

 

 


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