人が亡くなった(臨終の)あと、故人のお顔を伏せるために白い布をかぶせることは、おそらく誰もがイメージとして知っておられると思います。しかしあまり深い意味を知らないのではないでしょうか。
今回は、この「お顔伏せ」のマナーについてお話ししていこうと思います。
顔かけ、打ち覆いとは?
「顔かけ」または「打ち覆い(うちおおい)」 「面布(めんぷ)」などとも呼ばれるこの白い布は、その素材にこだわらず原則として白い布を選ばれてお顔にかけられます。
臨終後、身近にあるものをかけますので、時にはガーゼであったり、白いハンドタオルであったり、白いハンカチをかけたりします。
葬儀社が入れば専用のお顔伏せをかけていただくこともあります。
さて、この「顔伏せの白い布」というもの、そもそもどういう意味があるのか?
一体いつのタイミングまでかけているものなのか?
この、人にはなかなか聞けないギモンについてご説明します。
死後24時間は蘇生する可能性がある?
墓地、埋葬等に関する法律第3条により、「原則として、ご遺体は死後(もしくは死産後)24時間以内は火葬してはならないという決まりがあるのですが、つまりその間亡くなったとされた方が仮死状態である可能性もゼロではないということ。
ごくごく稀とはいえ、この業界にいると実際にそういう噂を耳にすることもありました。
そのため顔に布を掛けることで、万一蘇生した場合、呼吸したことに気がつきやすい状況にするため。という理由がひとつ。
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死後の悲壮な顔をさらさない
人によっては穏やかな死に顔であることもありますが、その最期を迎えた時のお顔は悲壮なご表情であることも多く、またお顔色も変わってきたり、目や口が開いてきたり、ご遺体は常に変化し続けるもの。
その顔をむやみにさらさないようにとの意味で布をかぶせるのです。これには、「故人の尊厳を守る」ことと、「悲しみや恐怖を抱く人への配慮」が挙げられるでしょう。
また、その顔伏せの布を取り外し、安心して拝顔出来るようにするために我々のような「納棺師」という職業があります。
納棺師がお化粧を施したあとは「顔伏せの白い布」を外して過ごしていただくことが多いです。
▼納棺に関しては以下の記事も参考にされて下さい。
■納棺の一連の流れと心構え・棺へ納めるまでの大切さ
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■納棺師とは別物/エンバーミングの内容と効果[ご遺体を修復する圧倒的な技術]
顔伏せをかける場合のマナー
●急なお参りにどなたかが来られた際には「お顔伏せ」をかけて来客をお通しする。
●故人様への配慮として夜や、外出し無人になる際にかける。
●親族間への配慮として、綺麗な顔になったからといって一人でも恐怖心を抱く人がいる場合はかけてあげましょう。
●納棺師などに化粧や詰め物をしてもらっていない場合でも、綺麗な顔なら顔伏せはかけても大丈夫。
もしも、お顔の変化などがある場合は、拝顔する時のみ外し再度お顔伏せを掛けることが相応しいマナーでしょう。
簡単ではありますが、あまりネットにもない情報でしたので記事にさせていただきました。少しでも参考になりましたら幸いです。
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