湯灌の名残「沐浴人(もくよくにん)」とは?・古い風習としきたりは守るべき?

 

 

 

どうも、湯灌納棺師の葬の助です。この記事ではちまたではあまり耳にすることがない湯灌の名残[沐浴人(もくよくにん)]について取り上げてみたいと思います。

 

 

沐浴人ってなに?

一部の地方では現在でも「沐浴人」と呼ばれる、今で言う湯灌の名残人の存在があります。
亡くなる方が生きておられるうちに自分の沐浴人を決める制度があるというのです。

 

「私があの世へ行ったら、沐浴人はお前に頼む」

 

そう名指しで頼まれるそうだ。

 

その一報は故人の周辺の人から耳に入るケースがあるのだが、故人の甥っ子の息子であったり、直系でない親戚や、隣近所の人を指名するという。

 

沐浴人は亡くなられた人をお風呂に入れ、拭きあげ白装束へと着替えさせる。

 

その役割が喪主や家族でないのは、大きな悲しみの中に押しやられ、葬儀の取り決めなどで何かと忙しくなるであろうことへの故人からの労りの気持ちかもしれません。

 

現在では指名されたはいいが、「やってあげたいけど無理だな……」と思われる方も多いようで、その際は湯灌師がお手伝いしながら沐浴人の方と協力をして湯灌、並びに清拭を進めていきます。

 

 

100年以上前の湯灌

1875年~1962年ごろ
湯灌は湯灌(ユガン)と呼ばれていた。

 

能登越中などでは、納棺のことを湯灌と言ったそうだ。

 

鹿島郡では普通は甥っ子にあたる者がこれにあずかるが、甥っ子がいなければ兄弟が行う。湯灌はこのころから二人くらいで行っていた。

 

故人を新調のタライに入れて髪を剃り、列座の近い親戚はかわるがわる必ず左杓でで水をかける。亡骸を起こすときは、「オイ」「サア」などと、掛け声をかける。

 

そしてそのあと棺に納めるのだ。

 

湯灌は昔、一部地域の歴史ではふんどしを締めて身を清めてから行ったであるとか、お手塩に入れた豆腐を一口ずつ食べるエリアなどもあったそう。

 

白いものを取り入れ、ケガレを清めるという風習なのかもしれません。

 

 

指名した沐浴人にタライのお風呂に入れてもらうという形は実に本格的で、以前記事にしました「古式湯灌」とは若干異なるように思えます。

 

 

風習を残す?残さない?

 

全世界各地では様々な風習や習慣が存在しておりますが、その風習を一番気にされるタイミングというのが、お葬式の場ではないかと思っています。

 

「代々うちの家系ではこのようにしたきた」

 

「この村の昔からの風習だから」

 

葬儀の場というのはこのような理由で、様々な取り決めを結構強引に進められることってあると思います。

 

そもそも、風習とか昔からの習わしだとか、宗派とか、普段から全然気にもしてなくて、そういう習わしをよく知りもしない人であっても、気がつけば葬儀屋さんやその地域の高齢者などに教えてもらうがまま、ついついその習わしの方法をなぞらえてしっかりお見送りをしていた。というのが通常ではないでしょうか。

 

中には、よく知りもしないのに
「ほんとにこれで良かったのだろうか?」

 

と、悩まれる方がいるかもしれません。

 

中には、よく知りもしないのに
「こんなの意味ない」

 

と、疑問を抱く方もいるかもしれません。

 

中には、よく知りもしないのに
「とっても満足なお別れができた」

 

と、満足感を得られた方もいるかもしれません。

 

風習や習わしをならうにあたって大切なことは……

 

●疑問を抱いたなら真実を調べ知ること。

 

●己が「これでよかったのか」と悩むより、周りの人々が「納得」しているなら良しである。

 

であって、「したらよかった」「しなきゃよかった」などという後悔をするなということだ。

 

「風習など関係ない」というのは簡単だが、続けていくことは極めて難しい。特にこれからの時代は。

 

後悔が残るようであれば、風習は行うべきだと思いますし、風習なんていらないと強く思うようであれば、「いらない理由」をしっかり下調べして腑に落としておくことが大事。

 

風習にならわないと決めたなら、後悔なきように「生との決別」に関して相当な心の覚悟が必要かもしれません。

 

 

このように湯灌の名残に見る各地の風習の違いを知ってみると、その形は様々です。
きっとどれが正解とかではなく、やはり心に後悔を残さないことが何よりもイチバン大切!ということです。

 

▼▼▼祖父、孫、先祖、家族のルーツ……お墓でつながりを大切にしよう。

 


 

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