ご遺族にご理解いただきたい湯灌師の気持ち
湯灌納棺師の葬の助です。
さて、今回は湯灌に携わる者としてお伝えしておきたいことを記事にしてみました。
▼湯灌について詳しくご存じでない方は以下をご参照ください。
■湯灌(ゆかん)の意味・形式の違いと費用相場から一連の流れまで
■湯灌(ゆかん)は参加型の儀式、その効果とは?ご家族が今求めているもの
我々が湯灌(ゆかん)に携わるときはラテックス製のグローブを手に装着しますが、中には今でも素手で湯灌を行っている業者もあるようです。
実は、葬儀関係者は感染症について法的には何の保護も規制も受けていないのが実態です。
我々は様々な死因の故人を扱うため、万全の衛生対策を整えた上で儀式を進めなければ命取りにもなるのです。
エンバーミングの記事を参考にしていただけるといいと思いますが…体内に残る細菌は死後も死滅するわけではありません。
▼以下の記事を参照ください。
■エンバーミングの内容と効果[圧倒的な遺体修復技術]
昔ながらの日本の考えではご遺体に対して『素手で触れる』ということに美学的な感覚を持っているお葬儀屋さんも少なくありませんでした。
我々とて、決して素手で触れされていただくことに抵抗があるというわけではないのですが、どうしても業務上亡くなられた方の体液への接触は必須となってしまいます。
もし、目に見えない小傷が手に存在しているだけでも、そこがなにかしらの感染源になることはあり得ます。
私たちとしてもより安全に仕事をさせていただくことがなによりも大切であるということを、ご遺族の方にはご理解いただきたい我々の密かな心情なのですね。
違った角度からの心情的な理由
又、湯灌師の中で、別の理由として『私たちの穢れたこの不浄の手で神聖な故人様にお触れすることなど出来ません』といった意味で手袋を付ける者もいます。
死因によっては注意が必要
ご遺族の中には、ご自分の大切な人に手袋を付けて触れるなんて失礼だと思われる方いらっしゃるかもしれませんが、どうかご遺族の方も死因によっては細心の注意が必要だということを、最低限知っていてほしいのです。
体液が溢れ続けている故人の隣で何も知らず寝て過ごしていた方を葬の助自身も実際に何度かお目にかかったことがあります。
もちろん老衰であるとか、確実に感染症ではないということがわかっているのであればもちろん一晩側について寝ているだけでは何も心配はいりません。
しかし『肺炎』と名がつくだけでも中には感染する肺炎もあるのです。今、肺炎は日本の死因ベスト3に入っている怖い病気です。
何も結核やエイズウィルス、C型肝炎などばかりが脅威ではありません。それなのに……。
『血液は死後の体内にはもうない』
という知識レベルの方をあまりにも多くお見かけするので、実は今回、この記事を書かせていただいた次第です。
葬の助自身、こういう知識は決して葬儀従事者だけが知っていればいい問題ではないような気がしています。
しかし、こういうデリケートな情報はまあまり一般的には知ることが出来ません。
忘れてはいけないのは、やはり昔『死』はもっと身近なものだったということではないだろうか。
近所のコミュニティで弔いをしていたころと違い、我々のようなあらゆる業種がサポートをするようになったことで、現代社会の中では『死』は他人の手に委ね、遠いものになってしまったのかもしれないな。と、葬の助は感じています。
感染症で亡くなってしまった場合の一番安全な処置としてエンバーミングという方法がありますので、もう一度リンク▼を張っておきます。
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